看護職員の確保をめぐる議論が、領域と地域の「偏在」に焦点を移しています。厚生労働省は7月23日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の第4回会合を開催。訪問看護の求人倍率が4.54倍と突出し、都道府県内の二次医療圏ごとに充足状況が大きく異なる実態が示されました。あわせて、将来の看護職員数を見積もる需要推計の作業方針も概ね了承され、2040年頃までを対象に都道府県ごとに算定する方向が固まりました。地域医療構想の再編と連動する議論であり、リハビリテーション職を含む医療提供体制全体に関わる内容です。
訪問看護の偏在と充足率の低さ
確保策の議論で繰り返し取り上げられたのが、訪問看護の領域偏在です。事務局の資料によると、都道府県ナースセンターにおける2024年度の領域別求人倍率は、訪問看護ステーションが4.54倍で最も高く、病院や社会福祉施設などが1.5倍を超えました。

領域別の看護職員の求人倍率(2024年度)。厚生労働省 第4回検討会 資料3より
2023年の就業看護職員数を第8次需要推計(2025年対象)で割った比率でみると、病院・有床診療所は全国値で0.978だったのに対し、訪問看護領域は0.777にとどまり、一部地域を除いて全国的に不足を示しました。介護保険サービス等は0.895で、地域によってばらつきがみられます。いずれも1.0を下回ると2019年作成の需要推計に対して不足していることを意味します。ただしこの需要推計は2019年に受療率を一定と仮定して作られたもので、地域医療構想の推進やコロナ後の受療行動の変化、DXによる効率化が反映されていない点に留意が必要だと、資料には注記されています。

訪問看護領域における都道府県別の需給状況(2023年就業÷第8次需要推計)。資料3より
事務局は、都道府県単位で見ると充足が進んでいるように見える一方、現場では人手が足りないという声があるとして、そのギャップを埋めるために、福島・京都・広島の3府県について二次医療圏ごとの就業状況を示しました。マクロでは充足して見える地域でも、二次医療圏ごとには不足している地域があると問題提起した格好です。自治医科大学の春山早苗座長代理は、都道府県単位のデータでは課題が見えにくく、二次医療圏ごとの分析が実効性の高い施策につながるとして、このデータの有用性を評価しました。
日本訪問看護財団の大竹参考人(平原優美構成員の代理)は、訪問看護が量的に不足しているだけでなく、質の維持・向上も課題だと指摘。現行の看護基礎教育では臨地実習23単位のうち地域・在宅看護実習が2単位にとどまる構造にも触れ、訪問看護総合支援センターとナースセンターの連携強化を求めました。
日本看護協会の秋山智弥会長は、訪問看護を希望する看護職は増えているものの、需要の伸びに供給が追いついていないとの見方を示しました。小規模事業所が多く入職者の支援体制を整えにくいことから、経営の大規模化・共同化の支援や、基幹病院からの出向、基幹ステーションによるサテライトなど、安定的な体制確保への支援が必要だと述べました。
処遇・夜勤手当と「看護補助者」の名称
委員からは、確保の土台として処遇の重要性を挙げる意見が相次ぎました。この検討会では勤務環境改善そのものは第5回以降の議題とされていますが、確保策と切り離せないとの指摘です。
日本私立医科大学協会の別府千恵氏は、令和8年度診療報酬改定でベースアップ評価料を夜勤に充てられるようになったものの、試算では1500円程度しか上がらず、他の職員の分を回した結果であるため不公平感が強いと述べ、賃金引き上げが基本だと訴えました。
秋山会長は、日本看護協会の調査結果として、夜勤手当の希望額と実際の支給額に開きがあると指摘。3交代の夜勤では希望額が平均約1万2000円に対し支給額が平均5200円






