「置けないんですよ」──山本香苗議員、地域包括のリハ職配置と両立支援加算の対象職種を追及/上野厚労相「重要な役割」と認めるも対象職種は「必要に応じ中医協で議論」

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15日の衆議院厚生労働委員会で、中道改革連合・無所属の山本香苗委員がリハビリテーションに関する質疑を行いました。焦点は2つです。令和8年度診療報酬改定(本年6月施行)で400点に引き上げられた療養・就労両立支援指導料の相談支援加算に、理学療法士や作業療法士が対象職種として含まれていない点。もう1つは、第10期介護保険事業計画(令和9〜11年度)の基本指針案に、地域包括支援センターへの「リハビリテーション専門職等」の配置検討が新たに例示されたにもかかわらず、人員配置基準は据え置かれている点です。上野賢一郎厚生労働大臣は、リハ専門職が両立支援で重要な役割を担っていると認めました。その上で、対象職種のあり方は現場の実態やエビデンスを踏まえ、必要に応じて中央社会保険医療協議会(中医協)で議論する考えを示しています。

令和8年度改定で拡充された両立支援──対象職種にリハ職の名前はない

治療と仕事の両立支援は、がん領域を起点に制度整備が進んできました。療養・就労両立支援指導料は平成30年度改定でがん患者を対象に新設され、その後、脳血管疾患や指定難病などへ対象が段階的に広がっています。本年6月施行の令和8年度診療報酬改定は、この枠組みをさらに大きく広げました。

同指導料は、患者と事業者が共同で作成した勤務情報の文書を起点とする仕組みです。主治医が就業上の配慮などを指導し、勤務先の産業医等へ情報提供した場合に算定します。今回の改定で対象疾患の定めが廃止され、全ての疾患が対象になりました。「治療と仕事の両立支援カード」を用いる場合も対象に追加されています。相談支援加算は50点から400点へ引き上げられました。

疾患名による限定はなくなりましたが、患者側の要件は残ります。入院中でないこと、反復継続した治療が必要であること、就業の継続に当たって配慮が必要であることなどが算定の前提です。

山本委員はこれらについて、大きな前進が図られたと評価します。その上で、全疾患に開いたことは重要だとしながら、疾患ごとの特性に応じた支援も欠かせないと指摘しました。

問題提起の起点になったのは、委員派遣で訪れた京都大学医学部附属病院の脳卒中療養支援センターです。同センターの宮本享センター長から聞いた課題を、山本委員はこの日の質疑で取り上げました。

脳卒中では身体障害や高次脳機能障害などの後遺症を伴うことが少なくありません。病気が治るだけでは職場復帰はできない。だからこそ復職や就労継続に向けたリハビリテーションが重要になる、というのが山本委員の立論です。

ここで浮かび上がるのが対象職種の問題です。相談支援加算400点を算定できるのは、専任の看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師が療養上の指導に同席して相談支援を行った場合に限られます。いずれも両立支援コーディネーター(治療と仕事の両立支援を担う人材として厚生労働省が養成する研修修了者)であることが要件です。理学療法士や作業療法士といったリハビリテーション専門職は、現在この対象職種に含まれていません。

療養・就労両立支援指導料(令和8年度改定版・令和8年6月から)

初回850点(情報通信機器を用いた場合740点)/月1回

2回目以降500点(同435点)/初回を算定した月から起算して6月を限度に月1回

相談支援加算400点(改定前50点)
対象職種:専任の看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師
※両立支援コーディネーター養成研修の修了者に限る

改定前の対象疾患は悪性腫瘍、脳血管疾患、指定難病、肝疾患(慢性経過)、心疾患、糖尿病、若年性認知症の7疾患。令和8年度改定で疾患の定めが廃止された。

「6か月まで」の壁──京大病院が挙げた「退院後6か月以降に復職支援が本格化」という実態

山本委員が最初に取り上げたのは、算定期間の問題でした。

宮本センター長から聞いた課題として、脳卒中患者は自宅退院後6か月以降に復職に向けた支援が本格化することを紹介。ところが療養・就労両立支援指導料は初回算定から6か月までしか算定できず、最も支援が必要な時期に活用できないという実態があると述べました。その上で、脳卒中患者について初回算定から6か月以降も算定できるよう、制度の見直しを検討してほしいと求めています。

答弁に立った間隆一郎保険局長は、この評価料の算定期間がこれまで3か月とされてきた経緯を説明しました。医療現場では、算定期間を満たせず算定できなかったものの、それ以外の算定要件を満たす2回目以降の指導が約6か月まで続いている実態があった。これを踏まえて令和8年度改定で6か月に延長した、という説明です。

その上で間局長は、疾患ごとの特性を踏まえるべきだとする山本委員の指摘について、今後の当該指導料の評価のあり方は今回の改定の検証を行いながら、関係者の意見も伺い、必要に応じて中医協で議論したいと答えました。

改定したばかりの項目に対し、施行から1か月半での見直しを求めた質疑だったことになります。山本委員は、委員派遣で得た認識を委員会全体で共有しながら進めたいと述べています。

上野厚労相「重要な役割」──対象職種のあり方は「必要に応じ中医協で」

続いて山本委員は、大臣に2点を問いました。1点目は、リハビリテーション専門職が脳卒中患者の治療と仕事の両立支援で重要な役割を担っていると厚生労働省が認識しているかどうか。2点目は、現場の実態を踏まえて相談支援加算の対象職種にリハビリテーション専門職等を追加するなど、制度見直しを検討してほしいというものです。

質問の背景には、宮本センター長から聞いたという現場像があります。脳卒中患者の両立支援では、理学療法士や作業療法士をはじめとするリハビリテーション専門職が中心的な役割を担っている。身体機能や高次脳機能の評価にとどまらず、通勤の可否や職務遂行能力まで見据えて、患者一人ひとりの復職や就労継続を支えている、という指摘です。

上野大臣は、循環器病対策推進基本計画(第2期)がリハビリテーションについて、再発予防、重症化予防、生活再建や就労等を目的とした多職種によるアプローチが重要としていることに触れました。その上で、リハビリテーション専門職は治療と仕事の両立支援において重要な役割を担っていると認識していると答弁しています。

ただし、対象職種への追加については踏み込みませんでした。大臣はリハビリテーション専門職の医療機関での業務について、患者の状態のアセスメントや計画策定、リハビリテーションの実施など、業務の性格に着目して診療報酬上の評価を行っていると説明。リハ専門職が身体面や機能面から両立支援を行う際にも、こうした仕組みの中で評価がなされていると承知しているとしました。相談支援加算の評価対象となる職種のあり方については、現場の実態やエビデンスなども踏まえ、必要に応じて中医協で議論していきたいと述べるにとどめています。

大臣が挙げた「現場の実態」という言葉を、山本委員は具体的なデータで受け止めました。退院後に就労を目的としたリハビリテーションを受けている人は極めて少ないという調査結果があります。その背景として、相談支援加算の対象職種にリハビリテーション専門職が含まれていないことも一因ではないかと指摘されている、というものです。山本委員は、厚生労働省関係の研究班の報告書にそうした一文があるとして、これを踏まえた検討を求めました。なお、同委員が言及した報告書は、記事公開時点で編集部では特定できていません。

適切な時期に適切な支援をすることで、復職や就労継続が可能になる人は少なくない。山本委員はそう述べ、この論点を締めくくっています。

地域包括支援センター「置けないんですよ」──明記と配置基準のねじれ

最後の論点は、地域包括支援センターの人員配置基準でした。

6月29日の社会保障審議会介護保険部会(第135回)で、第10期介護保険事業計画の基本指針案が示されています。基本指針は、市町村や都道府県が3年ごとに作る介護保険事業(支援)計画の土台となる国の告示です。第10期は令和9年度から11年度までを対象とします。

その案には、地域包括支援センターについて、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の三職種以外に「リハビリテーション専門職等の専門職や事務職」の配置も含め、必要な体制を検討することが重要だと新たに明記されました。あわせて、その確保に取り組むことも求めています(POST既報)。現行の第9期指針は「三職種以外の専門職や事務職」とだけ記しており、「リハビリテーション専門職等」という具体例が加わった形です。配置の義務化ではなく、市町村が検討すべき選択肢としての例示にあたります。

山本委員はこれを大事な一歩だと評価します。ところが、これで配置職種の拡大が実現したのかと確認したところ、人員配置基準は見直されていないことが分かった、と述べました。

続けて山本委員は、次のように指摘しています。現場では保健師や主任介護支援専門員の確保が難しく、地域包括支援センターの運営に苦労している実態が少なくない。一方でリハビリテーション専門職を配置すれば、介護予防や自立支援、多職種連携の充実など、センターの機能強化につながることが厚生労働省の調査研究でも示されている。基本指針にリハビリテーション専門職等の配置の重要性を明記した以上、これを理念にとどめることなく、対象職種への追加など人員配置基準を見直してほしい、というのが山本委員の要請です。

上野大臣は、保健師等の三職種を必置(法令上、配置が義務付けられていること)としている現行の枠組みを説明しました。その上で、自立支援に資するケアマネジメントの効果的な実施の観点から、市町村が地域の実情に応じてリハビリテーション専門職を追加で配置することも可能だとしています。次の介護保険事業計画に係る国の基本指針でもこの点を明示し、自治体の検討を促したいと答弁しました。地域によっては三職種の確保が困難となるケースが増加しているため、これらに準ずる者の配置を認めるなど弾力的な運用も行っていると述べています。

人員配置基準のあり方については、三職種を必置とする趣旨を踏まえつつ検討するとしました。センターの業務や人材確保の状況、各専門職が実施している業務内容や役割分担・連携の状況も把握する。その上で、支援の質の確保とセンターの安定的な運営という双方の観点から、関係者の意見をよく聞いた上で必要な検討を行うとしています。

この答弁に、山本委員は即座に反論しました。現行制度でも三職種を配置した上で地域の実情に応じて置ける、という説明に対し、「置けないんですよ」「要するにカウントにならないんですね」と指摘。委託の範囲内で置いてもいいという話であって、現実的には無理だと述べました。

この「カウントにならない」という指摘は、制度上の裏付けがあります。三職種の確保が困難な場合に配置できる「準ずる者」の範囲は、「地域包括支援センターの設置運営について」(平成18年10月18日老計発第1018001号ほか)で定められています。保健師に準ずる者は地域ケア・地域保健等の経験のある看護師、社会福祉士に準ずる者は一定の相談援助経験を持つ者、主任介護支援専門員に準ずる者はケアマネジメントリーダー研修修了者。理学療法士や作業療法士はここに含まれません。追加で配置することはできても、人員配置基準上の頭数には算入されない構造です。

それでもなお配置している自治体があるとして、山本委員が挙げたのが大阪府大東市です。同市ではリハビリテーション専門職の配置により、地域包括支援センターの機能強化につながっている。加えて、必要なサービスを必要な期間提供するという介護給付の適正化にもつながっている、と紹介しました。時間切れとなり詳細には触れないまま、この点についてしっかりと見直しを検討してほしいと要請して質疑を終えています。

まとめ・今後の展望

本日の質疑で確認された事実は以下の通りです。

療養・就労両立支援指導料の相談支援加算について、上野大臣はリハビリテーション専門職が両立支援で重要な役割を担っていると認めました。その上で、対象職種のあり方は現場の実態やエビデンスを踏まえ、必要に応じて中医協で議論するとしています。算定期間についても、間保険局長が今回の改定の検証を行いながら、必要に応じて中医協で議論する考えを示しました。いずれも令和8年度改定で拡充されたばかりの項目であり、次の改定に向けた検証がスタートラインになります。

地域包括支援センターの人員配置基準は、第10期の基本指針案に「リハビリテーション専門職等」が例示された一方で、基準そのものは据え置きです。上野大臣は関係者の意見を聞いた上で必要な検討を行うと述べましたが、見直しの時期や方向性は示されていません。基本指針案は今後、部会で示された意見を踏まえて告示に向けた手続きが進むことになります。

2月27日の予算委員会で厚労省に統括部署がないと問題提起して以降、山本委員はリハビリテーション政策を継続的に取り上げてきました。今回は組織論から一歩進み、診療報酬と介護保険の人員配置基準という具体的な制度の中で、リハ職がどう位置づけられているかを問う質疑になっています。

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