厚生労働省は6日、「第3回 医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」を開催しました。焦点は、18歳人口の減少で経営が厳しくなる学校養成所を、遠隔授業とサテライト化でどう残すか。事務局は、複数の養成校を「経営の一体化」で束ね、専任教員をまとめて配置する叩き台を示しました。理学療法士を例にすると、3校で計18名だった専任教員が、一体化後は6名になる構図です。十数の職種団体・委員は、方向性に理解を示しつつ、実習の質と教員数、サテライト校への補助金、処遇改善、都道府県の役割などを巡って幅広い注文を寄せました。
事務局が示した「経営の一体化」の叩き台
今回の中心は、資料3の「議論の叩き台」と、資料2の学校養成所の運営です。事務局は、経営が悪化した養成校を無理に単独で残すのではなく、一定の人口規模がある地域では設置者変更やサテライト化で「学びの場」を残す、人口規模が小さい地域では学生が学校へアクセスできる支援や地元就職への支援を組み合わせる、という全体像を提示しました。県庁所在地の本校から通学が難しい地域を「サテライト施設」でつなぎ、演習などのスクーリングを支える形です。

具体的なイメージが、養成校の「経営の一体化」です。理学療法士養成課程を念頭にした事務局資料では、1学年定員40名・総定員120名の3校(在籍はA校60名、B校30名、C校30名)が、それぞれ専任教員6名ずつ、計18名を配置している状態を示します。これを、A校を本校、B校とC校をサテライト校とする1つの学校に一体化すると、指定規則上の専任教員は6名になります。事務局は「地域で効率的な教員配置につながる」という問題意識を説明しました。

専任教員の配置基準は、職種で幅があります。資料2によると、専任教員の最低数は歯科技工士の3人以上から看護師の8人以上まで開きがあり、理学療法士・作業療法士は6人以上、言語聴覚士は5人以上(令和9年度からは6人以上)です。連合の平山委員は、配置基準が少ない職種ほど見直しの影響が大きいとして、慎重な検討を求めました。
文科省が専修学校の遠隔授業ルールを説明
第2回で「大学だけでなく専修学校も議論すべき」との意見が出たことを受け、冒頭は文部科学省が資料1で専修学校(専門学校)の現状を説明しました。専門学校は主に高校卒業者が進学する機関で、修業年限は法律上1年以上、実際は1〜4年程度。企業と連携した「職業実践専門課程」の認定率は、資料1では令和7年3月時点で約4割(1,123校/2,676校)。認定校には、都道府県による運営費補助への特別交付税措置や、職業訓練給付金の対象化といった支援があるとしました。
遠隔授業について、専修学校では設置基準上、卒業に必要な総単位数の4分の3まで遠隔授業で修得できると説明。オンデマンド型でも、質問回答・添削指導や学生間の意見交換の機会を確保すれば認められるとしました。教育の質保証では、本年4月施行の学校教育法改正で専門学校にも第三者評価が努力義務化され、5年を1サイクルとして普及を進める段階だと述べています。日本成長戦略会議の人材育成分科会(文部科学大臣の下に設置)が4月28日に公表した「人材育成システム改革ビジョン」でも、専門学校の教育の質向上支援と、遠隔授業など柔軟な制度運用への言及があると紹介しました。
「実習・演習の質」と「教員数」に懸念が集中
意見表明では、サテライト化・遠隔授業の方向性そのものに明確な反対を示した委員は見られませんでした。一方で、対面が欠かせない実習・演習をどう担保するかに懸念が集中しました。
日本理学療法士協会の斎藤秀之委員は、遠隔・サテライトに反対はしないとしたうえで、実習教育をどうするかは避けて通れないと指摘。地域枠や外部機関からの人材派遣を組み合わせ、教員の負担軽減と地域の人材確保を両立させる工夫を求めました。日本作業療法士協会の山本伸一委員は、経営一体化の提案を評価しつつ、演習・実習を含む課題があるとして、教育の質の保障を前提に養成校や関係団体との合意形成が不可欠だと述べました。
実習の教員数を疑問視する声も相次ぎました。日本臨床検査技師会の長沢委員は、3校で18名だった教員が一体化で6名になる案について、学生数は変わらないのに実習が回るのか、10種以上の専門分野で多くの教員が要る中で懸念があると指摘。日本言語聴覚士協会の内山委員も、サテライト化した場合に本校分の教員数だけを確保すればよいのかは質の担保に関わるとして不安を示しました。日本視能訓練士協会の丸林委員は、視能訓練士の養成校が全国に27校しかない現状に触れ、実習の質担保が大きな課題だと述べています。
実習を補う技術として、シミュレーターの活用を挙げる意見もありました。青木委員は、侵襲性の高い業務を扱う職種では病院実習が見学中心になりがちだとして、シミュレーターを用いた教育をもっと活用してよいのではないかと提案しました。
全日本病院協会の菅野委員は、一体化イメージを踏まえ、本校が困っていない前提でサテライト校を支えるなら教員を増やす必要はないのか、経営一体化に法改正が必要か省令で足りるのかを事務局に質問。事務局は、定員が一定数を超えるごとに教員を増やすルールがあるため全体の教員数は在籍規模に応じて増えると説明






