令和8年度改定「機器が絡む加算」5項目総点検──運動量増加機器加算は上下肢分離、リンパ浮腫は500点新設

1909 posts

令和8年度診療報酬改定の改定後点数は令和8年6月1日に施行されます。リハビリテーション分野では、ロボットや嚥下評価機器、弾性着衣など「機器」が算定要件や加算点数に直接絡む項目でいくつかの変更が入ります。最大の動きは、脳卒中・脊髄障害のリハで用いる運動量増加機器加算が上肢・下肢に分かれ、両方該当する患者では月最大300点まで算定できるようになる点です。摂食嚥下機能回復体制加算の言語聴覚士要件緩和、リンパ浮腫複合的治療料の重症区分新設・大幅引き上げ、心大血管リハの加算再編など、施行を前に機器導入や運用見直しの判断材料となる5項目を整理しました。

1. 運動量増加機器加算──上下肢分離で月最大300点へ

今改定でもっとも構造が変わったのが、リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の「注4 運動量増加機器加算」です。改定前は150点を単一で月1回算定する形だったところ、令和8年度改定で「イ 上肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合 150点」「ロ 下肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合 150点」の2区分に分かれ、それぞれ月1回算定できるようになります。上肢・下肢の両方に該当する患者では、月最大300点となります。

対象は、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出施設で、脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う上肢または下肢の運動機能障害を有する患者。告示・通知では、医師、理学療法士または作業療法士のうち1名以上が機能を評価して機器使用が適当と判断し、運動量増加機器を用いた計画を策定したうえで当該機器によりリハを実施することが要件とされます。発症日から起算して2月を限度とする期間制限は従前のまま変わっていません。

厚生労働省告示第69号は注4について「次に掲げる点数をそれぞれ月1回に限り所定点数に加算する」と規定しており、イ・ロをそれぞれ月1回ずつ算定可能で、上肢・下肢の両者に機能障害がある患者では同一月に両方算定できます。脳卒中急性期で上下肢いずれにも障害がある患者は珍しくなく、両方算定すれば1患者あたり月300点・2か月で最大600点の上乗せが発生する計算です。ロボットスーツや歩行支援機器の導入を検討してきた施設にとっては、投資回収の前提条件が変わる改定といえます。

2. 摂食機能療法・摂食嚥下機能回復体制加算──STの「専従→専任」要件緩和

摂食機能療法(H004)本体の点数は1=185点(30分以上)・2=130点(30分未満、脳卒中14日以内)で据え置き。一方で、注3の「摂食嚥下機能回復体制加算1・2」の施設基準で、摂食嚥下支援チームの言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に変更されました。疑義解釈資料(その1)問45では、専任の常勤言語聴覚士が疾患別リハビリテーションの専従または専任の言語聴覚士を兼ねることについて、「摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲であれば差し支えない」と示されています。

同加算は週1回限り、イ=210点・ロ=190点・ハ=120点を加算するもの。算定の前提として、内視鏡下嚥下機能検査(VE)または嚥下造影(VF)による客観的な摂食機能評価が必要となるため、嚥下評価機器の保有状況が施設基準充足の鍵になります。専従要件の緩和により、ST人員が限られる施設でも嚥下チーム編成のハードルが下がり、結果としてVE・VFの稼働機会も増える方向に動く可能性があります。

あわせて、医師指示下のPT・OTによる「摂食時の体位設定」「自助具評価・設定」が摂食機能療法に含まれることが運用上明確化されました。

3. リンパ浮腫複合的治療料──重症60分以上500点・40〜60分未満350点を新設

リンパ浮腫複合的治療料(H007-4)は、改定で点数の組み方が大きく変わりました。改定前は重症の場合を一律で算定していたところ、令和8年度改定では時間区分が新設され、「1 重症の場合 イ 60分以上 500点」「ロ 40分以上60分未満 350点」に。「2 1以外の場合」も改定前100点から150点へ1.5倍の引き上げとなっています。

算定回数は据え置き(重症は月1回・開始から2月以内は計11回まで、その他は6月に1回)。一方で要件として、患肢のスキンケア指導・体重管理指導を毎回実施することが必要で、重症の場合は医学的理由がない限り、弾性着衣または弾性包帯による圧迫を毎回実施することが明示されています。重症患者に60分以上対応した場合の点数が2.5倍に跳ね上がる形となり、複合的治療を実施できる体制を整えてきた施設にとってはリハ収益への寄与度が大きく上がります。

4. 心大血管疾患リハ料──早期リハ加算が段階制に、休日リハ加算を新設

心大血管疾患リハビリテーション料

令和8年度改定「機器が絡む加算」5項目総点検──運動量増加機器加算は上下肢分離、リンパ浮腫は500点新設

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事