OT協会、2040年地域医療構想に対応した作業療法提供体制を公表──こども・精神科・高齢者の3領域で診療所OT算定や急性期増員を提言

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日本作業療法士協会は5月、「2040年を見据えた新たな地域医療構想に対応する作業療法提供体制の在り方提案」(以下、本提案)を協会公式サイトで公開しました。2025年10月の第4回理事会で作成が承認され、12月の第5回理事会で原案を決議。2026年1月30日から2月17日まで会員向けパブリックコメントを実施し、寄せられた149件の意見を反映してまとめたもので、こども・精神科・高齢者の3領域それぞれで作業療法が果たすべき機能と役割、制度上の課題、政策提言が整理されています。2026年度の協会重点活動項目「新たな地域医療構想に対応した作業療法の方針の策定および都道府県士会・会員への周知」の中核資料として位置づけられています。

2040年地域医療構想を受けた協会としての対応方針

背景にあるのは、厚生労働省「新たな地域医療構想等に関する検討会」が2024年12月にとりまとめた、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想です。地域完結型の医療・介護提供体制の構築、入院医療から在宅医療への大きな転換が方向性として示されました。さらに2025年7月の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめでは、サービス需要変化の地域差に応じて中山間・人口減少地域、大都市部、一般市の3分類で提供体制を構築すること、人材確保、生産性向上、経営支援、地域包括ケアシステム、医療介護連携、分野を超えた連携促進が方向性として示されています。

本提案は、こうした政策的潮流に対し、急性期から在宅、こども、精神科までを横断する作業療法の具体的な提供体制をOT協会自らが示すものです。協会員に取り組むべき方向性を提示するとともに、診療報酬や福祉サービスの制度設計に対する政策的働きかけの基盤資料となることが見込まれます。

Ⅰ こども領域──未就学・学童・思春期で生活行為向上マネジメントを軸に

第Ⅰ章はこども領域です。少子化が当初予測より10年前倒しで進行する現状を踏まえ、こども家庭庁の発足、こども基本法、特別支援教育の進展などの政策動向を整理した上で、未就学期(0〜6歳)、学童期(6〜12歳)、思春期(13〜18歳)の3ステージごとに作業療法士の機能と役割を提示しています。

未就学期では、NICUなどの周産期医療センターや療育センター、児童発達支援センターを中核としたアセスメントと支援。学童期では、感覚処理、運動計画、注意・実行機能、社会性などを多面的に評価したうえで、学習環境の調整、ICT機器(AT:支援技術)の活用、教員エンパワメントといった役割を担うとしています。思春期では、医療的ケア児や慢性疾患・身体障害を持つ子どもへの対応に加え、トラウマインフォームドケアや就労・進学に向けた合理的配慮の提案などが挙げられています。

こども領域共通の課題として、作業療法士の各領域でのニーズが一定数あるにもかかわらず非常勤雇用が多く身分が不安定であること、学校現場での配置・報酬・身分保障が整っておらず外部専門家としての関与にとどまっていることが指摘され、安定的な人材供給システムの構築が求められています。提案には、母子保健事業、児童発達支援センター、学校、保育所等訪問支援、教育委員会などを連動させたライフステージ図も収録されています。

Ⅱ 精神科領域──入院1年以上が67%、地域移行加速へ5フェーズで再構築

第Ⅱ章は精神科医療における作業療法です。2024年12月の新たな地域医療構想のとりまとめで精神医療が同構想に位置づけられたことを受け、救急・急性期、長期慢性期・包括期、外来作業療法・精神科デイケア、訪問看護・指導、診療所の5フェーズに整理して提案が組み立てられています。

協会の2022年度会員調査によれば、精神科で働く作業療法士の対象者のうち約67%が入院1年以上で、その内ほとんど退院しない患者が39.9%を占めています。退院に向けたカンファレンスに全く参加したことがない作業療法士は34%にのぼり、退院支援における作業療法の機能と役割の理解が病院内で十分に浸透していない実態が示されています。協会2024年度精神科における作業療法実態調査では、外来精神科作業療法は36%の施設で実施され、専用スペースを設けているのは37%。精神科デイケアは76%の施設で実施され、登録作業療法士がいるのは87%です。2024年会員実態調査によれば、精神科領域で働く会員の約35%が訪問に従事し、うち専従は25%。算定状況は精神科訪問看護・指導が87%を占めています。診療所およびリワーク領域に関しては、2018年度のうつ病リワーク研究会全国調査によりリワークデイケアの作業療法士配置率が約10%前後にとどまることが示されており、診療所では精神科作業療法を算定できない制度的課題が指摘されています。

本提案はこれらの状況を踏まえ、救急・急性期病棟(A331精神科救急急性期医療入院料、A311-2精神科急性期治療病棟)における作業療法士の配置基準の整備、診療所での精神科作業療法算定の見直し、訪問における作業療法士配置の促進、リワークプログラムや企業内メンタルヘルス支援への参画拡大などを求めています。

Ⅲ 高齢者・在宅医療領域──特定機能病院のOT配置は2.9%、急性期増員を提言

第Ⅲ章は高齢者を取り巻く医療・介護領域です。85歳以上の人口増加、認知症高齢者・独居高齢者の増加と地域差を前提に、急性期、包括期(回復期)、在宅医療期(通所リハビリ、訪問リハビリ、介護老人保健施設、共生型自立訓練)の3段階で作業療法の役割と課題を提示しています。

注目すべきは急性期領域の数値です。2024年の協会会員統計によれば、医療法関連施設で働く作業療法士34,016人のうち特定機能病院に勤務するのは1,320人にとどまり、本提案は配置率を協会発表値で2.9%と示しています。一方で新たな地域医療構想における急性期からの患者の流れでは、急性期病院での治療を終えた患者の80〜90%が直接自宅へ退院し、回復期病院や診療所などへ転院するのは6〜8%程度とされています。つまり急性期こそが医療介護連携の重要性が大きい時期であるにもかかわらず、作業療法士の配置が薄く、機能訓練に偏りやすい構造的課題が指摘されています。

包括期では、退院前訪問指導料が回復期病棟では包括の範囲に含まれて別途算定の対象外となっており、社会参加への介入を阻む制度的制約が示されました。在宅医療期では、介護老人保健施設の個別機能訓練がADL中心、特に排せつに偏る傾向、通所リハビリテーションのマネジメント加算算定が約6割にとどまる現状、訪問リ

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